リアルゴールドの会秋の陣 記録
■日時 平成24年10月29日(月)15:00~17:00
■会場 ハートフルスクエアーG 2階・研修室30
■参加 東海地方の図書館関係者22名
■テーマ 「どうしてますか?図書館実習」
情報交換・意見交換を行いながら、アレコレ考えました。以下がその内容です。
議事録と言うより話題になった内容をまとめたものなので、実際の発言順序等と
は異なります。
■内容
1 今回のテーマについて(提案者から説明)
体験学習、インターンシップ、図書館実習、社会人研修、さまざまな実習を受け入れているが、これでいいのか悩んでいる。他の図書館ではどんなふうにやっているのか情報交換したい、どうあるべきなのか考えたい。
2 各館の実習メニュー(どんなことをやってもらっているかの情報交換)
・ 窓口業務
(貸出・返却・利用者登録・リクエスト処理・予約連絡・督促・レファレンス)
※ 個人情報の管理やトラブル回避の観点から、窓口業務だけはメニューに入れないという図書館もありました。
・資料の受入から除籍まで
(納品された本の確認、ブッカーかけ・帯貼り・蔵書印押印・シール貼付等の装備、書誌データ・所蔵データの入力、除籍予定資料の除籍準備)
※ 間違う可能性があるので、書誌データ・所蔵データはさわってもらわないという図書館もありました。
・ 書架整理(開架・書庫)
・ 広報(おはなし会のポスター作り、ホームページの更新についての説明)
・ 書評(オススメの本を選び、紹介文を書き、掲示物としてまとめる)
・ 相互協力、物流(相互貸借業務、分館資料確保のデモ、分館等への配送)
!メニューにないのが意外!
「掃除」・・・民間企業では朝来たらまず掃除というところは多いのでは、ごみ拾いをやってもらったことはある、という意見などもありました。
3 実習はどうあるべきか
(1) 実習生はこんなことを望んでいる~実習経験者等の体験から
・イベントの手伝い(会場設営等※イベントそのものには参加せず見ているだけ)や除籍予定の本のブッカーをかける等の実習をしている生徒は、はたから見てもつまらなさそうにしていた。
※ブッカーかけは、自分のお気に入りの本を一冊持ってきてもらい、それにかけてもらう図書館もありました。
・図書館の職員の人と話せてよかった。
実習先図書館のサービスについてなど図書館にまつわるよもやま話、どうしてこの仕事に就いたのか、やりがいなど働く人としての話等、いろいろなことを語ってくださったことが印象に残っている。
・ 図書館で働きたいと思っていたのでどんな実習も楽しくて仕方なかったが、一緒に実習していた人たちはそうではなかったので、何をやっても関心の度合いや取り組む姿勢が全く違っていたのを感じた。
・大学で勉強した内容と実務がどう結びついているのか知りたかった。
日々の実習内容から、明日はこの業務についてもっとやってみたいという意欲がわいた。そしてそれを実習先の図書館は受け入れてくれ、実習メニューとしてくれた。
(2) 受け入れる側の図書館として困っていること、考えたいこと
・実習生のやる気の個人差
(すごく熱心な人もいれば仕方なくこなしているだけの人もいる)
・実習プログラム
(図書館実習をやるならこれは外せないというメニューは何だろう、実習生も図書館も達成感のある実習とはどんなものだろう。そもそも図書館らしい仕事ってなんだろう。書店とどう違うのだろう。)
・他の業務とのかねあい
(実習生の受入、実習対応は人手が割かれ、なかなか大変。特に繁忙期は人手が足りず、実習メニューも雑用が中心になることが多い。教育の一環としての実習であれば、メニューが雑用ばかりではいけないのではないか。
(3) 実習する側も実習を受け入れる側も幸せな時(実習期間)を過ごすには
・1校あたり、一日あたりの受入人数を決め、受入人数をある程度制限する。
※隣接自治体の学校からの申込があることも。受入可能であれば受け入れるが、自分の自治体内の学校を優先し、お断りすることが多いようです。
・具体的な実習内容を例示したり、してもらうなどして、この実習で何をやりたいか事前に聞いておく。
…学校・大学側にやる気のある生徒・学生を選んでもらう。
…守秘義務やドレスコードなど、実習中守ってほしいこともきちんと伝える。
※志望動機などをまとめた作文を提出してもらっている図書館もありました。
※あまりにひどい実習生については、大学に通報したという図書館もありました。
・図書館での実習にやる気がないということは日頃から図書館に関心がなく利用もしていないということが多い。図書館に来ない人の意見を聞く機会はなかなかないので、図書館のイメージや図書館にのぞむことなどを聞けるチャンスととらえて意見を聞く。
※新館建設計画のある図書館では、新しい図書館にのぞむことを聞く時間をとっていました。
・とはいえ、やる気のない実習生を受け入れて実習対応するのは、図書館側としては業務量的に割りにあわないし、お互いに不幸。実習にかかるコストを明示してはどうか。または時給を支払うような仕事をしてもらい、バイト代を支払ってはどうか。
・図書館の、一番メインのところを見せる。
…なぜ無料なのか、なぜ秘密を守るのか、なぜ幅広い資料があるのか等々を知ってもらえるような実習メニュー
…中高生であれば、学校図書館と公共図書館の違いが分かるようなメニュー
…中(バックヤード)に入ってみて初めて知る、発見があるメニュー
…仕事を創るための仕事(会議など)を見せられるとよい。
…実習は本が動いている(受入から除籍まで)ことを知ってもらう機会になる。
ある図書館でのお悩みを解決するノウハウを他の参加者がもっていたり、これでいいのかなと思いつつも漫然と受け入れていた図書館実習について考えるきっかけになったり、ゆるいけど濃い2時間でした。
会場を13:00から予約していただいていたので、15:00まではフリートークとしました。新図書館建設のこと、カーリルトライアルのこと、フライヤーのこと等々、いろいろな話題が出ました。終わった後も、各館のイベント情報を交換し合いました(11月4日はどこの図書館へ行こうか迷ってしまうくらいいろいろあることが分かりました)。
ご参加の皆様、おつかれさまでした。
■ご参加の方から後日情報提供がありました。
たとえば高等学校のインターンシップだと、以下のようなことがねらいとなっているようです。
・地域社会とのつながりを確認する。
・働くことの目的や意義、仕事の苦労や喜びを知る。
・社会生活に必要なマナーや常識(言葉づかい・礼儀作法など)を身につける。
・自分の適性について考える。
・進路について保護者と話し合い、共に考える。
職業について考えるだけでなく、学校を出て社会とつながる機会としても位置づけられているようです。
受け入れ側も心して準備をしなくては、ですね。